地域作業所hana equaltoへの思い

製造元施設が抱いている、「働く」ことへの思いを紹介します。
NPO法人コミュニティワークス「地域作業所hana」(千葉県木更津)の施設長の筒井さんにお話を伺いました。

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地域作業所hanaは縫製作業、菓子製造、カフェの運営など様々な事業を運営されていますが、equaltoに参加したきっかけはなんですか?

筒井さん:地域作業所hana(以降、hana)の前身である小規模共同作業所で運営していた時(2006年頃)は仕事を見つけるのが大変で、単価1円以下の内職作業を受けたこともありました。工賃は良い時でも月数千円だったので、このままではいけない!と思い、他の福祉作業所がどうしているのかをリサーチしたところ、工賃が高いところの多くは自分たちで価格を決められる自社製品を作っていることを知りました。そこで当時いたスタッフと話したり試行錯誤したりしてたどり着いたのが、不要になった英字新聞を材料にした新聞エコバッグの製造です。

スタッフ:セレクトショップでも見かけますね。製造現場を拝見しましたが、作業が非常に細かく分担されていたのが印象的でした。

筒井さん:商品開発当時から考えるとデザインも作りも、今はだいぶ改良されています。新聞エコバッグの製造に続いて縫製部門でも自社製品を製造したいとずっと思っていましたが、福祉の支援職員だけでデザインするのは難しく、仮に自社製品ができても販路があるわけでもない…。そんな悩みを抱えているときに、ちょうどequaltoをご紹介いただき、良い機会だと思いエントリーしました。

スタッフ:そこから生まれたのがお守りカバーの「Ohukuro」ですね。

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equaltoに参加して得た気づきや生まれた変化はありますか。

筒井さん:当たり前のことですが、材料である革の購入、加工、パッケージの仕入れなど全て異なる会社とやり取りをしていて、「Ohukuro」は本当に様々な業者さんが関わってできているんだなと思いました。材料の仕入れから1つの製品が仕上がるまでの全ての過程に携わるのは初めての経験だったので、すごく勉強になりましたね。また、equaltoを通じて利用者さん(障がいのある方)と職員の商品品質に対する意識が高まりました。たとえば、「Ohukuro」は品質基準が厳しくパッケージングの際は手袋をつけるのですが、それを経験した利用者さんは、他のクライアントの商品を扱うときもちょっとした傷や汚れを指摘してくれるようになりました。厳しい仕事をすると、細かいことに気づけるようになるんですね。今では検品のお仕事もいただけるようになりました。

スタッフ:「Ohukuro」は縫製のちょっとしたズレも大きく目立ってしまう商品なので、品質チェックが厳しいですよね。その経験が新たなお仕事に繋がったのは嬉しいです。

利用者さんの就労についてもお聞かせください。スキルアップなどの支援はどのように行われていますか。

筒井さん:hanaの利用を始める方には、最初にスキル確認のために、紙に線を引いてそれに沿ってハサミで切るという作業をお願いしています。そこで直線を引けるか、ハサミが使えるか、精度に対する意識などのスキルを見て、その後の仕事を割り振る参考にしています。スキルアップ支援については、時間があるときにこれまでは取り組んでいなかった作業にチャレンジしてもらったり、練習してもらったりすることで、一人ひとりができる作業を増やしてもらっています。

スタッフ:それぞれのペースで、できることを広げていっているんですね。

筒井さん:利用者さんにとってhanaは企業への就職の通過点でもあります。企業に就職したらhanaと同じ作業をする機会はほぼないはずなので、どちらかというと、決められた時間に出勤すること、安定して仕事に取り組むことができるための方法、同僚とのコミュニケーションの取り方、上司への報告・連絡・相談などの実践を大切にしています。どんな職場でも気が合わない人はいるじゃないですか(笑)。そんなときにどうやって人との距離を保つか。将来どの企業に勤めたとしても、そこでできるだけ困らないようにというか、困った時の対処方法を身に着ける場にもしたいなと思っているんです。最初は出来なかったことも、癖を付けるとしっかりできるようになりますよ。

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スタッフ:地域作業所hanaさんは利用者の7割が精神障がいのある方なので、コミュニケーションや仕事の姿勢に関する支援が重要なんですね。

利用者さんの就職のタイミングは決まっているのでしょうか。

筒井さん:それぞれのタイミングなので、特に決まっていません。自らハローワークに行って求人を見つけたりする方もいますし、障害者就労支援の専門機関から声をかけてもらえることもあります。最近では、製菓部門で長年働いていた方が市役所の臨時職員として採用されました。

スタッフ:本人の意向やタイミングに任せているんですね。寄り添いながらそれぞれの意思を尊重する、hanaさんの支援の様子が伺えます。

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地域作業所hanaは通過点とありましたが、ずっと働き続けられる場所でもあるんですよね。

筒井さん:はい。でもまだ最低賃金をお支払いできていないので、そもそも一般の職場と同じ土俵に立っていません。利用者さんの中には、仕事内容がハードでも良いから給料が高い職場で働きたい、という方もいます。もちろんそういった気持ちは当然だし、その方の人生ですから私たちにそれをとめる権利はありせん。でも、あまりにもハードな職場だと病状が悪化してしまうケースもあるんです。だからこそ、給料の額ではなく、仕事内容や職場環境で比べてもらえるよう、一般の職場と同じくらいの工賃をお支払いできる事業所にしていく。今後も売上を上げていき、最低賃金を支払える事業所になること目指していきたいと思っています。

スタッフ:工賃向上を目指し、一般の職場と同じ土俵に立つ。熱い思いを感じました。equaltoもさらなる販路開拓や新商品開発に力を入れたいと思います。一緒に頑張りましょう!

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筒井啓介(NPO法人コミュニティワークス 理事長)

1980年 神奈川県生まれ

大学在学中から約10年間にわたり、木更津市と協働で市民起業家やNPOの支援に取り組む。そのことがきっかけとなり、2006年に「NPO法人コミュニティワークス」を設立し、「地域作業所hana」を運営。2010年には就労継続支援B型に移行し、現在は1日約20名の障がい者が通所し、不要になった英字新聞で作るエコバッグ作りや製菓、縫製、モノ作りなどに取り組む。http://hana-work.net/

その後2015年には、生活介護と就労継続支援B型の多機能型事業所「hanahaco」を開設し、障がい者が働く場としてのカフェ+ショップを運営している。http://hanahaco.com/

好きなもの:トマトジュース

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1,500 円 (税込1,650 円)

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革のコードホルダー

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